
渋谷にある大学、日本経済大学経営学部で、デジタルビジネス・マネジメント学科(DBM学科)の学科長を務めている金谷武明です。この個人ブログでは、先日実施した短期留学プログラムの舞台裏を、引率教員の個人的な視点から振り返ってみたいと思います。
この9月、学生4名(DBM学科2名、他学科2名)を引率し、Seattle、San Francisco、Los Angelesを巡る「米国西海岸短期留学プログラム」を実施しました。Silicon Valleyの最先端技術と西海岸の多様な文化に触れる、非常に中身の濃い8日間となりました。
まずは大学公式サイトに実施報告を掲載しましたので、よろしければ、そちらから先にご覧ください。
▶ Silicon Valleyの最前線に触れる ― 米国西海岸短期留学プログラム実施報告 ― https://shibuya.jue.ac.jp/news/us-westcoast-study-abroad-report-2025/
公式サイトのレポートでは、プログラムの概要や成果を中心にお伝えしましたが、こちらの個人ブログでは、レポートには書ききれなかった「舞台裏(Behind the scene)」や、引率教員としての個人的な想いを少しまとめてみたいと思います。
Silicon Valleyツアーから米国西海岸短期留学へ
この留学プログラム、当初は「Silicon Valleyツアー」と企画を始めたのですが、最終的にはSeattle、San Francisco、Los Angelesという米国西海岸の3都市を巡るプログラムになりました。
企画のそもそもの発端は、私自身のGoogle時代の体験にあります。出張で訪れるSilicon Valleyはいつも刺激的だったので、「この刺激を学生たちに体験させてみたい。彼らの何かが始まるきっかけになるかもしれない」と感じていました。
大学教員として何か学生の力になれないか?というのは常に考えているのですが、「Google在籍時代何度もSilicon Valleyを訪れた私が解説しながら引率するツアーなら、他にはない企画になるのでは?」というアイデアに行き着いたのです。
この構想を周りの先生方と話していたところ、ある先生から素晴らしいアドバイスをもらいました。その先生は以前西海岸の3都市を旅したことがあり、「SeattleにはMicrosoft、Amazon、Starbucksもある。LAにはHollywoodもあるし、組み合わせれば、もっと魅力的なプログラムになるのでは?」と。
この一言で企画が一気に広がり、単なる「点」のツアーが、西海岸を縦断する「線」の短期留学へと発展したわけです。
ただの”ツアー”じゃつまらない、特別な体験を

一般的なSilicon Valleyツアーは、企業のビジターセンターや外観を巡るものが多いと思うのですが、今回はそこに「プラスα」の価値を加えたいと考えました。
そこで考えたのが、現地で働く「人」に直接会うということです。
今回、公式なプログラムとして訪問したわけではないのですが、SeattleやSan Francisco、Silicon Valleyにいる私の友人のみなさんに個人的にお願いし、学生のためだけに時間を割いてもらいました。オフィス内を案内してもらったり、仕事のリアルな話を聞かせてもらったり。こうした特別な体験こそが、学生にとって何よりの刺激になったと思います。
いくつか実現しなかった企画もあるのでそれはまたいつか。

円安、物価高…そして何より優先した「学生の安全」
企画段階で頭を悩ませたのが、昨今の円安と現地の物価高でした。今回は3都市を巡る「旅する短期留学」だったため、航空券に加え、現地での移動費もかさみ、予算管理は本当に大変でした。
しかし、その予算以上に神経を使ったのが学生たちの安全確保です。
San FranciscoやLos Angelesの一部エリアの治安状況を考慮し、今回は「安全第一」を徹底。市内での移動はほぼ全てUberを使い、Silicon Valleyのツアーでは専用バスを、そしてLos Angelesでのドジャース戦観戦は、割高でも往復送迎付きのチケットを手配しました。
この安全対策が、決して過剰ではなかったと痛感する出来事が起こります。
私たちが観戦したまさにその夜、同じくドジャースタジアムからの帰途についた日本人が襲撃されるというニュースが報じられたのです。現場は私たちが宿泊したホテルからわずか800mほどの場所でした。この一報に、安全を最優先した判断は正しかったと胸を撫でおろすと同時に、楽しい思い出が悪夢に変わってしまった被害者の方を思うと、本当に胸が痛みます。
【注意喚起】ロサンゼルス市ダウンタウンにおける強盗事件の発生
https://www.la.us.emb-japan.go.jp/pdf/202509_WarningAboutCrime.pdf
ハンドルが勝手に回る!Waymo無人タクシーに大興奮

今回の旅で、学生たちが最も興奮した瞬間のひとつが、San Franciscoでの「Waymo(ウェイモ)」体験でした。日本ではまだ実用化されていない、完全無人の自動運転タクシーです。体験というか、普通にお金を払って乗りました。
スマートフォンで配車すると、本当に運転席に誰も乗っていない車がやってくる。乗り込んでドアを閉めると、静かに走り出すんです。カーブに差しかかると、目の前でハンドルだけが勝手にスルスルと回っていく…。「未来の技術」が現実になった瞬間を目の当たりにし、学生たちは、いや、私もテンションが上りました(笑)。
あとで学生たちから聞いた話ですが、彼らの世代にとっては、このような新しいテクノロジーの登場に触れる経験は初めてに近かったそうです。今回の体験を通じて、テクノロジーの凄さと重要性を改めて実感した、と話してくれました。
テクノロジーを「知識」として知るだけでなく、こうして「体験」することが、いかに重要か。それを私自身も再認識させられた出来事でした。
【これから乗る人へのTips】
ちなみにこのWaymoのアプリ、サービス提供エリア外の日本やSeattleでは登録ができませんでした。現地で乗れるかは一種の賭けでしたが、San Franciscoに到着後、無事に登録できました。
電話番号の認証が少し厄介でしたが、日本の電話番号で大丈夫です。+81で登録することをお忘れなく。
Silicon Valleyでの偶然の再会
これは本当に驚いたのですが、Silicon ValleyでYouTube本社付近を歩いていた時、なんとGoogle時代の元同僚とばったり遭遇したのです。彼女はもうGoogleでもYouTubeでも働いていません。本当に偶然でした。学生たちは「海外で偶然知り合いに会うなんてことあるんですか!?」と目を丸くしていました。
意図したわけではありませんでしたが、グローバルに働くリアルを体感してもらえたようです(笑)。
次回への課題と展望
もちろん、すべてが順風満帆だったわけではありません。初めての引率プログラムということもあり、課題も見つかりました。
が、こういう話は学外秘とさせてください!
でも学生のみなさんが安全で楽しめるような(観光的にではなくて学習やキャリア的に)内容になるように改善していきます。
何かご質問等ありましたらコメントか、金谷のSNSのアカウントのDMへお送り下さい!

おまけ:今回持って行ったカメラたち

多くの方にとってはどうでもいい話かもしれませんが、備忘録として今回のカメラ選定について少しだけ。
今回持って行ったのはこちらの2台。
- SONY α7IV with SEL24105G(24mm – 105mmのGレンズ)
- Leica Q3(28mm)
でした。α7IVのレンズはだいぶ悩んだのですが、広角から中望遠までカバーできる24mm-105mmが役立つかな、とセレクト。
メインのHasselblad X2D100Cをなぜ持っていかなかったかというと、理由は2つ。
- バッテリーの持ちが悪いこと(バッテリー2つありますがそれでも不安)
- 学生の一瞬の表情などを撮るにはピント合わせに時間がかかる場合があること
という理由から見送りました。
結果として、風景や少し望遠で撮りたい場面ではα7IV、街歩きで気軽にスナップを撮る際はLeica Q3と、うまく役割分担させることができたと思います。
最後に
舞台裏は以上となります。DBM学科では、今後もこうした教室の外での「体験的な学び」を積極的に企画していきます。在学生のみなさん、そして将来DBM学科に興味を持ってくれている高校生のみなさん、ぜひ楽しみにしていてください!
補足:いつも読んでくださっている方はお気づきかもしれませんが、普段のブログ記事での一人称は「僕」を使っています。ただ、今回は大学のプログラムという少しフォーマルな内容でしたので、文中の表現を「私」にしました。他の記事と少し雰囲気が違うかもしれませんが、まあそういうことです。
おまけ
このブログをNotebookLMに入れて動画を生成してみました。写真を並べて欲しいなぁと思いましたが、そこまでは出来ないみたいでした。サムネールはなんとなく作りましたが、動画内には実際の写真は使われていません。
ただ、普通の音声解説ではなく、1人称として話してもらう形式にしました。その方がリアルかな、と。まあ女性の声なのでリアルではないですかねw
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