Alphabet(Googleの親会社)が2025年第3四半期(2025年7〜9月期、Q3 2025)の決算を発表しました。
一言で言えば「絶好調」です。AIモードや生成AIへの本格投資で、検索連動型広告収入の減少が懸念されていましたが、今四半期は予想をしっかりと上回る結果になりました。
ここでは、私・金谷が特に注目したポイントを整理します。
詳細や細かい数値などは決算報告書をご覧ください。
気になるポイント
- 売上が初の 1,000 億ドル超え(約 15 兆円規模)
- 検索連動型広告(Search&Other)での成長
- クラウド事業(Google Cloud)の伸び
- 社員数が増えている(人員拡大)
- Google Network(広告ネットワーク収入)が減少している
- トラフィック獲得費用(Traffic Acquisition Costs (TAC))の増加
- 決算インタビュー/発表コメントから “検索” 関連の注目点
1. 売上が初の 1,000億ドル超え
Q3 2025におけるAlphabetの総収益は 約1,023億ドルに達しました。
為替「1ドル=150円」で換算すると、約15兆円になります。
仮にこのペースで1年間売り上げると通年で約60兆円規模。日本の国家予算(約115兆円)と比べても、企業単体としては圧倒的な規模だと感じます。
Alphabet/GoogleのCEOであるSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)氏のコメントによると、5年前の売上は500億ドルだったとのこと。実際に2020年第3四半期の売上は461億7,300万ドルで、確かに500億ドル規模でした。つまり、この5年間で売上がほぼ倍増したというわけです。
2. Google検索広告(検索連動型広告)の成長
Google検索広告の成長を見ていきたいと思います。
Google検索広告の収益は「Search & Other」という項目に含まれます。この”Other”の中にはGmailなども含まれますが、実質的には検索広告が中心であり、それ以上の内訳は公表されていません。そのため、この項目を中心に見ていきたいと思います。
「Search & Other」の売上は約565億7,000万ドルとなり、前年同期比で約14〜15%の増収でした。生成AIなどによる「検索・広告モデルへの脅威」が懸念されていた中でも、検索広告ビジネスは堅調に成長を維持しています。
3. クラウド事業(Google Cloud)の伸び
Q3 2025では、Google Cloudの売上が約151億6,000万ドルとなり、前年同期の約114億ドルから約34%の成長。
また、クラウド部門の受注残(バックログ)が 1,550億ドルに達している点も印象的です。
この四半期の売上の10倍以上に相当するバックログを抱えているというのは、凄い規模感ですね。
4. 社員数が増えている(人員拡大)
Q3時点での従業員数は 190,167名。前年同期(181,269名)から1年で約5%増えています。 
昨今のAI需要の高まりなどを受けて「会社全体の成長機会を捉えるために投資している」とのことで、AI需要への対応などが背景としてあるのかな、と思います。
その成長機会の陰りが見えたとき、また極端なレイオフに繋がらないといいなぁと思ったりはしますね。とはいえ、AI需要はまだ当面続くと考えられるので、しばらくは安定しているとは思いますが。
5. Google Network(広告ネットワーク収入)が減少している
一方で、Google Network(広告ネットワーク)の収益は前年同期の約75億5,000万ドルから約73億5,000万ドルへと減少しました。
この要因についての直接的な言及はなく詳細は不明ですが、Google検索からの流入が減少しているウェブメディアにとっては、今後の収益構造をめぐる不安材料として残る部分かと思います。
6. トラフィック獲得費用(Traffic Acquisition Costs (TAC))の増加
トラフィック獲得費用(Traffic Acquisition Costs、TAC)が約137億ドルから約149億ドルへと増加しているのは気になりますね。
この項目には主に以下のような費用が含まれます:
- AdSenseやAdMobなどのパブリッシャーへのレベニューシェア
- デバイスメーカーに対し、Google検索をデフォルト検索エンジンとして設定してもらうためのコスト
- キャリアやブラウザ事業者に対し、Google検索窓を採用してもらうためのコスト
詳細な内容は開示されていませんが、Google Networkからの収益が減少していることを考えると、レベニューシェアの増加によるものである可能性は低いのではないかと思われます。
そうなると、米国での独占禁止法裁判の争点でもあった「他のデバイスやブラウザなどでデフォルトの検索エンジンにしてもらうためのコスト」が増加した可能性もあります。実際のところはどうなのでしょうか。
7. 決算インタビュー/検索関連ピックアップ
決算説明動画でもいくつか印象的なデータがありましたので、気になったポイントをピックアップします。
- Geminiのような当社の独自モデルは、現在、お客様による直接API利用を通じて、1分あたり70億トークンを処理しています。
- 7月にAI全体で月間980兆トークンを処理していたが、現在は月間1.3京トークン以上を処理しており、1年間で20倍以上の成長をしている。
- Geminiアプリの月間アクティブユーザー数は6億5,000万人を超え、第2四半期から検索回数(queries)が3倍に増加した。
- Google OneとYouTube Premiumの成長に牽引され、有料サブスクリプション数は3億件を超えた。
- Waymoを東京でサービスを提供するため取り組んでいることにも言及。楽しみ。
- 検索については曖昧な表現が多いのでちょっと保留。AIモードは7,500万人/日以上が利用。
まとめ
今回の決算は、AIモードのグローバル展開後では初めての決算ということで、その影響(広告収入の減少など)が出るのではないかという予想もありましたが、結果は非常に好調でした。
とはいえ、AIモードの利用者はまだグローバルで1日あたり約7,500万人にとどまっていること、またグローバルローンチがQ3の途中であったことから、ローンチ後最初のフル四半期となる次の2025年第4四半期(Q4 2025)でどのような結果になるのか、楽しみですね。
※本記事に誤りや誤記などありましたら、コメント欄などでお知らせください。
 
 

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