Alphabet(Google)2026年Q2決算 考察レポート

Alphabet(Google)の2026年第2四半期(4-6月期)決算が日本時間7月23日朝に発表されました。売上1,198億ドル(前年同期比24%増)、営業利益408億ドル(同30%増)、営業利益率34%。Cloudは82%増と加速、検索広告も17%増。数字だけ見れば文句なしなのですが、発表後、株価は7%超の下落となりました。

一般的な分析はたくさん出ていると思いますので、それはそれで皆さん他のサイトでチェックしてみてください!ここでは個人的に気になった点を中心にまとめます。

金谷の気になった点

1. 売上1,198億ドル、成長率と利益率の高さ

売上高: 1,198億ドル(約19.6兆円)- 前年同期比24%増
営業利益: 408億ドル(約6.7兆円)- 前年同期比30%増
営業利益率: 34% – 前年同期から2ポイント拡大、ただし前四半期からは2ポイント減少

2026Q1のレポートでも同じコメントをしましたが、この規模で売上が24%伸びているというのは驚異的ですね。高い利益率も維持してる。ここだけでもビジネスは順調そうな印象を受けます。

2. 純利益1,121億ドルの「中身」

ここを押さえておかないと、今回の決算は読み違えると思います。
純利益が1,121億ドル(約18.4兆円)- 前年同期比 298%増、というのは売上が1,198億ドル(約19.6兆円)であることを考えると考えられないような数値です。

しかし、SpaceXやAnthropicなど出資先の含み益である株式評価益が990億ドルを占め、この評価益を除くとEPS(1株あたりの利益)は約2.85ドルで、市場予想の2.89ドルに届かずなんですよね。

つまり「4倍の増益」の実態は、事業が4倍儲かったのではなく、持っている株の値段が上がった、という話です。しかもこれは非現金・非経常なので、来期も同じように出るとは限らない。逆に評価損に振れることもあります。

見るべきは営業利益408億ドル(30%増)と営業利益率34%のほうですね。

3. Cloud 82%増、バックログは5,140億ドルへ

前回、前々回とバックログの積み上がりに注目してきましたが、今回もさらに増えました。

Cloud売上: 248億ドル(前年同期比 82%増)。前四半期は63%増だったのでさらに加速。
Cloud営業利益: 88億ドル(前年28億ドルから3倍超)。営業利益率35.6%(前年20.7%)。
バックログ: 5,140億ドル。前四半期から500億ドル以上の増加。

Q1から短期契約も含める形に集計方法が変わっているので、Q4との単純比較はできないのですが、バックログの推移は、2,400億ドル(2025年Q4)→ 4,600億ドル(2026年Q1)→ 5,140億ドル(今回)となっています。将来の収益が確定的に積み上がっているという意味で、AI需要が実需に変わったという見方は今回も維持していいと思います。

ただし利益率については注意が必要で、CFOがQ3は第三者のクラウド容量を「つなぎ」として借りると明言しています。自社のデータセンターが間に合わないので他社から借りる、当然コストは高い、だから利益率は下がる、という話です。

4. 検索広告17%成長、AI Modeは10億MAUへ

ここは毎回いちばん気にしているところです。

検索広告(Search & other): 633億ドル(前年同期比 17%増)。前四半期は604億ドル(前年同期比19%増)だったので、やや減速なんですが、相変わらず高い伸びを示しています。

この伸びの理由については

  • Geminiで検索意図の理解が大幅向上。ショッピング広告では関連性の高い広告を表示できた割合が20%改善
  • 長文検索でも広告を表示できるようになった。これまで収益化できていなかった数十億規模の検索が対象になったとのこと
  • AI MaxやPMaxなどAI搭載キャンペーンを導入した広告主は、同等のROASで検索において平均15%多いコンバージョンまたはコンバージョン価値。AI Maxはベータを終えて50万社が導入済み
  • AI OverviewsやAI Modeではより具体的で長い質問が増え、広告機会も増えている

とのこと。

その他気になる情報としては、

  • AI Mode: 昨年10月のグローバル展開以降、月間アクティブユーザー10億人を突破。
  • AI OverviewsとAI Modeが統合され、ひとつの検索体験に。
  • W杯期間中に検索利用が過去最高を記録。

ですかね。

CEOのSundar氏は「AI機能が検索クエリの成長を牽引している」と述べていて、AI ModeについてはAI Overviewsと同様に検索クエリ全体を上乗せしている、という言い方をしています。カニバリゼーションを正面から否定した形ですね。ただしクエリ数そのものは開示されていないので、ここは数字の裏づけがない主張です。

では、広告はどうかというと「AIが回答してしまうので検索広告はクリックされなくなる」という懸念はあったかと思いますが、今回も17%成長という数字で応えた形です。ただ、19%から17%への減速と、市場予想(634億ドル)をわずかに下回ったのは市場には影響があったと言われてますが、期待値の高さを感じてしまいますね。

あと、10-Qには monetization metrics として、有料クリック数が前年同期比13%増、クリック単価が3%増と記載されています。つまりこの17%成長は、単価を上げて稼いだのではなく、クリック数そのものが13%伸びた結果ということですね。「AIが答えてしまうから広告はクリックされなくなる」という懸念に対しては、かなり直接的な反証だと思います。

ただし注意が必要なのは、この有料クリックはGoogle検索と自社プロパティ全体(Gmail、Maps、Playなど、検索の配信パートナー経由も含む)の数字であって、AIモード単体の数字ではないこと。そして、これはあくまで広告のクリックであって、自然検索でウェブサイトに流れているクリックの話ではありません。

後者についてはやはり開示されていませんが、Googleは、「AI機能経由で毎週数十億のクリックをウェブサイトに送っている」と明言しています。AI検索でサイトへの流入が減っているという批判が強まっているので、それへの回答なのだと思います。ここをわざわざ言及したこと自体は特筆すべきかなと。

ただ、これは「AI機能経由」に限定した数字で、検索全体からの流入ではありません。しかも「数十億」という粒度で、前年と比べて増えたのか減ったのかも示されていない。答えを出したようで、実は問いにはまだ答えていない、というのが正直な受け止めです。ここはいずれ、もう少し粒度のある説明が必要になってくる論点だと思います。

あと印象的なのは、AI Modeの応答コストがローンチ以来最低水準まで下がっているという話。AI検索は「コストが重すぎて広告モデルと両立しない」という懸念がありましたが、そこは技術でカバーしてきている。この点はもっと評価されていい気がします。

5. Network、下げ止まった?

ここも毎回気にしているところですね。

Network売上: 73.0億ドル(前年同期 73.5億ドル、約0.7%減)

数字だけ見ると横ばいですが、10-Qの monetization metrics を見ると中身がかなり違います。インプレッション数が12%減、インプレッション単価が13%増。つまり、広告の表示機会そのものは2桁で縮んでいて、単価の上昇でかろうじて売上を維持している、という構造です。

さらに10-QのMD&Aには、Network減収の理由が「AdSenseの減少が主因、AdMobの増加が一部相殺」と明記されています。つまりウェブ(AdSense)が縮み、アプリ(AdMob)が伸びている。Open Webでの広告流通が構造的に細っているという見立ては、今回はっきり数字で裏付けられた形です。

トラフィックを集めて広告収入を得るタイプのサイト運営にとっては、前回よりむしろ厳しい内容だと思います。

6. CapEx 449億ドル、そしてフリーCFがついにマイナスへ

今回いちばんの驚きはここでした。

Q2のCapEx: 449億ドル(前年同期224億ドルからほぼ倍)。四半期で約7.4兆円。
営業CF: 391億ドル。
フリーCF: マイナス58.6億ドル。
通期2026年ガイダンス: 1,950〜2,050億ドルに上方修正(前回1,800〜1,900億ドル)。
2027年: 「大幅に増加する」と改めてコメント。

営業キャッシュフローよりも設備投資が大きい。つまり本業が生むキャッシュだけでは投資をまかなえていない状態になりました。Alphabetは長らく「世界でもっともキャッシュを生む会社」のひとつだったので、これは相当な変化です。

実際、資金の出どころも変わっています。6月に増資で純額496億ドル、社債で203億ドル調達。そして自社株買いは前年同期の132億ドルからゼロになりました。支払利息も前年の2.6億ドルから12.8億ドルへ。バランスシートで見ると、長期債務が465億ドルから982億ドルへと半年で倍増しています。

前回「仮にAIバブル的な調整局面が来た場合、積み増した固定資産は即座には縮められない」と書きましたが、そこに「しかも借金と増資で買っている」という条件が加わりました。リスクの性質が一段変わったと思います。

7. TACは+10%、伸び率は少し落ち着いた

TAC(トラフィック獲得コスト): 162億ドル(前年同期比 10%増)。

前回が11%増でしたので、ほぼ同水準です。売上が24%伸びる中でTACが10%増ということは、売上に対する比率は下がっています。この点は前回よりポジティブに見ていいのかもしれません。とはいえ絶対額は増え続けていますし、「お金を払って検索の入口を確保する」モデルへの法的リスクが消えたわけではないので、引き続きウォッチ対象です。

8. TPUの外販が数字に出てきた

今回、貸借対照表を見ると、2025年末から半年で棚卸資産が24億ドルから100億ドルへ急増しています。これはTPUシステムを顧客のデータセンターに納入するための先行在庫。CFOによれば、この売上の大半が計上されるのは2027年とのことです。

Googleが自社用に作っていたチップを外に売る、というのはかなり大きな戦略転換です。クラウドを売る会社から、AIインフラそのものを売る会社へ。今すぐ数字には出ませんが、2027年以降の見え方を変える要素だと思います。

全体まとめ

売上1,198億ドル(24%増)、営業利益率34%、Cloud 82%増でバックログ5,140億ドル、検索広告17%増、Geminiアプリ9.5億MAU、AI Mode 10億MAU。事業の数字としては、前回に続いて申し分のない四半期でした。

一方で、フリーCFがマイナスに転じ、自社株買いが止まり、増資と社債で資金を調達し、それでもなお2027年はさらに投資を増やすと言う。純利益の大半は出資先の評価益で、本業ベースのEPSは市場予想に届いていない。株価が7%下げたのは、この「事業は絶好調、財務の性格が変わった」というギャップに市場が値段をつけ直したということだと理解しています。

Q4決算のときも「これだけの数字を出しても数%下落」と書きましたが、今回はハードルの高さというより、評価軸そのものが変わった印象です。次の四半期は、Cloudの利益率がどこまで落ちるか、そして検索です。前年Q3から伸びが加速していたので、Q3はその高い数字と比較されることになる。ここをどう乗り切るか、見ていきたいと思います。自分へのメモ(笑)。

情報源
Alphabet Announces Second Quarter 2026 Results(PDF)
Q2 2026 earnings call: Remarks from our CEO(blog.google)
Q2 2026 決算説明会トランスクリプト(abc.xyz IR)

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